明後日は九月九日なので/「アストロ球団」ネタバレ注意

アストロ球団」の作画担当・中島徳博先生が八月二十八日に亡くなられたのをニュースを知りました。子供の頃、「アストロ球団」に影響を受けた身には悲しいことです。哀悼の意を表します。

アストロ球団 (第5巻)

アストロ球団 (第5巻)

 私と「アストロ球団」との出会いは小学校高学年の頃でした。家の押し入れの奥に古いジャンプコミックスが一冊置いてあり、古い少年漫画の絵柄にも抵抗を覚えず、熱中しました。「こんなことできるわけないだろ」という技のオンパレードであるスポーツ漫画であるにもかかわらず、それを突っ込ませない物語の吸引力と熱さが魅力でした。読んだ巻のラストでバロン森が命を落としてしまったせいもあるでしょうね、インパクトが強かったです。近所の児童館に行くと、偶然一巻から最終巻まで揃っており、むさぼるように読みました。欲しいと思ったのですが、何せ古い単行本で絶版、児童館は本の貸し出しはしない、ということで手に入れることや手許に置くことは夢のまた夢でした。古本屋を巡っても置いてあることはありませんでしたし。

 いわゆる名作漫画は形を変えて復刻するものですが、「アストロ球団」には問題がありました。メインキャラの一人・伊集院球三郎は物語冒頭で盲目になるのですが、敵キャラが彼を貶すときの台詞が俗に言う出版コードに引っ掛かる語ばかりなんですね。他にもコードに引っ掛かる語は多く、ちょっとやそっと置き換えてなんとかするのは困難な状態でした。(写植は置き換えが出来ますが、手書きの筆文字は置き換え無理でしょう……。)その困難を克服したのは太田出版でした。ほぼ連載当時のまま復刻という大サービスをやってのけてくれたのです。大人になって小金が使えるようになった自分は復刻を知り、嬉々として全巻揃えました。幼い頃の夢が叶ったのです。子供の頃読んだのと記憶がところどころ食い違っているところもありましたが、大人になって改めて全て読み通しても、熱さと魅力は衰えていませんでした。いまでも私の好きな漫画男性キャラ一位は、高雄球六です。

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 そういえば未だによく分からないのは、球四郎がバロン森登場後、急に大門に冷たくなったことですね。大門初登場後からビクトリー球団創設あたりまでは敬意を表し、尊重していた風に見えたのですが。球三郎への逆恨みで性格が歪んでしまったことに対してなのかな? とも思うのですが、はっきりしません。

 漫画他の創作への嗜好(つまりは萌え)に対する影響もありまして、血のつながらないきょうだい同士の恋愛や愛憎劇が好きになりました……。これは伊集院兄弟のせいです。