メモ・「ECCENTRICS(エキセントリクス)」(吉野朔実)考

ECCENTRICS (1) (小学館文庫)

ECCENTRICS (1) (小学館文庫)

 昔から、「ECCENTRICS(エキセントリクス)」(吉野朔実)のラストの意味が分からなかったのですが、以下の記事を読んでみたところ、とても参考になりました。なので、メモ。

 以下、頭に浮かんだことをメモ。吉野作品のネタバレがあるので、注意してください。

  • 山田兄弟は自分たちを「天」と名乗ります。作中で、「兄が劫(めぐる)、弟が天(あまね)」と話すシーンがあるので、「自分たちは『劫』だ」と名乗っても良いわけですが、「天」を選んでいます。これはフルネームを漢字で縦書きしたとき、左右対称になる「山田天」の方が好ましいと思ったのではないでしょうか。
  • 最後に出てくる赤ん坊は、比良坂さんと日周さんの間の子供で、千寿の生まれ変わりだと思っていました。
    • ラスト、駅で帽子男が転落し、千寿が助けようとして飛び出すシーンで、二人とも亡くなったものだと思っていた
    • 千寿の妊娠が作中で確定していない
    • 最後近くで、日周さんが「比良坂家に住んでも良いか」質問するシーンで、比良坂さんはそれを受け入れる返事をしている(ニュアンスが愛の告白とも取れるシーン)
  • 吉野作品の長編では、よく「表現者」「創造に関わる人」を志望する人、生業とする人が登場します。彼らはその「見る能力」「分析する能力」で、他の登場人物を救うことが多いことに気付きました。
    • 「月下の一群」の清村
    • 「少年は荒野をめざす」の日夏雄高(日夏さんはそれほど救う側ではない気もしますが)
    • 「HAPPY AGE」のオーガスタス
    • 「ジュリエットの卵」の下田游一
    • 「ECCENTRICS」の比良坂英慈