「チェンジアップ!」(秋吉由美子)

 随分と久しぶりに秋吉先生の新刊が出ましたねー。ということで、しばらくぶりに私もブログを書いてみます。

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 隣の席の女の子が気になる箕島(みのしま)。彼女との会話を成立させようとした些細な言葉がきっかけで、「野球が好きな女の子・池田」を甲子園に連れて行くことを目指すことになる。
 隣の席の男の子が気になる池田。気になる彼から聞き取れた些細な言葉をきっかけに、彼女の夢は、「甲子園を目指す投手・箕島」に甲子園に連れて行ってもらうことになる。
 かみ合っているようで、かみ合っていない、ふたりの願い。進学先の燕森(つばめもり)高校の三年間で、甲子園に行けるのか。ふたりの本当の願いは叶うのか?

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 「まつのべっ!」以来のラブコメですね。最近の少女漫画は読んでいないので分からないのですが、読んでいるこちらがじれったくなって布団の中で転げ回りたくなりました。清々しいくらいに甘酸っぱい青春漫画。「まつのべっ!」のすれ違いは心理的距離や互いの立場の弁えから成り立つのですが、「チェンジアップ!」のすれ違いは、池田さんのドがつく鈍さと箕島くんの恋愛に関しての奥手さ具合ですね。作中のネタでもありましたが、箕島くんはいつもマイ・マウンドを用意してろ! マウンドでは度胸が据わってるんだから!
 上下巻ですが、上巻は池田と箕島の出会いから高校三年進級まで、下巻は高校三年の夏の地区予選決勝・強豪校でライバルの中川投手がいる光鷹(こうよう)高校との対戦がメインになります。下巻になると、四コマ誌の一ヶ月の掲載ページ数5ページがもどかしいっ! 連載で読んでいたら、悶えてたと思う! ある意味、上下巻一気に刊行で正解です。これは、「まつのべっ!」も同じ。

 心が汚れた大人には眩しいほどの青春ラブコメスポーツ漫画です。爽やかな青春漫画で心を浄化させたい方、恋愛漫画のじれったいすれ違いに悶えるのが好きな方にはお勧めです。

 余談ですが、箕島くんの下の名前は「一広(かずひろ)」、池田さんの下の名前は「真純(ますみ)」です。上巻描き下ろしからすると、清原和博桑田真澄から取ってるんでしょうね。地区大会等で出てくる学校名は鳥の名前をもじったものが多いのですが、燕森(ツバメ)と光鷹(タカ)は実在の球団のスワローズとホークスから取ったのかな、と思います。秋吉先生が大ファンのホークスを主人公のいる学校の名前にしなかったのはご愛嬌でしょうか。

 ところで、「まつのべっ!」は絶版状態なんでしょうか。これも一気読みにはお勧めで、というか、連載で追っていたら後半の松延と皇香とのすれ違いと伏線回収にやきもきしたと思います。なるべく予備知識なしで読んでください。Wikipediaの「まつのべっ!」には重大なネタバレが書いてあるので、読後まで見たら駄目です。そして、最後まで読み終えた後、一巻の松延表紙を左に、二巻表紙の皇香を右にして並べてくださいね。

まつのべっ! 1 (まんがタイムコミックス)

まつのべっ! 1 (まんがタイムコミックス)

まつのべっ! 2 (まんがタイムコミックス)

まつのべっ! 2 (まんがタイムコミックス)