解釈はご自由に

 漫画「ジュリエットの卵」(吉野朔実)のラストのネタバレがありますので、お気を付けください。

ジュリエットの卵 (1) (小学館文庫)

ジュリエットの卵 (1) (小学館文庫)

ジュリエットの卵 (2) (小学館文庫)

ジュリエットの卵 (2) (小学館文庫)

ジュリエットの卵 (3) (小学館文庫)

ジュリエットの卵 (3) (小学館文庫)

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 漫画というのは、初めて読んだ時と後で読み返した時とでは印象が異なることがたまにあると思います。個人的には、「ジュリエットの卵」(吉野朔実)のラストがそうでした。ラストでヒロインの兄・水(ミナト)は自殺未遂を犯します。ヒロインの螢は水を救おうとしますが、呪いにかかったように、水が自身に向けて刺した刃を手に取り、自分を刺そうとしてしまいます。この辺から最後の螢のプロローグまで水の生死は不明なのですが、最初に読んだ時、水は死んだものだと思っていました。
 母親からの衝撃的な告白(出生の秘密)と母親の自殺、(水にとっては)螢の裏切り、と水にとって絶望的な状況が続いたので、命を完全に絶ったとしてもおかしくないなあ、と。
 ですが、しばらく経ってから読み直してみたら、水は失神しているだけで生きているんじゃないかなあ、と思うようになりました。螢を救ってくれた下田さんが駆けつけた時と同時に、小夏も水の家を訪れたからです。あと、螢の「私達もう一度 生まれることが出来るわね?」のプロローグは、転生ではなく、比喩的な生まれ変わり(殻を破る)を指しているのではないか、と。螢は下田さんや友人の小夏・夜貴子たちに救われて殻を破ることができました。水も、小夏たちの手を借りて、螢より時間を掛けてでも殻を破ることが出来るようになるのではないかなあ、と願いたくなったので。

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 ラストの解釈云々で他の方のレビューを見て「あれ?」と思ったのは、石見翔子スズナリ!」ですが、このことは機会があれば書いてみたいと思います。