桜Trick(タチ)感想(盛大なネタバレあり)

 噂の百合アニメ「桜Trick」に度肝を抜かれ、原作を買い揃えてしまいました。

桜Trick (1) (まんがタイムKRコミックス)

桜Trick (1) (まんがタイムKRコミックス)

桜Trick (2) (まんがタイムKRコミックス)

桜Trick (2) (まんがタイムKRコミックス)

桜Trick (3) (まんがタイムKRコミックス)

桜Trick (3) (まんがタイムKRコミックス)

 四巻は今月末発売です。続きが気になるので、買います。「廃校になる高校の最後の新入生」が主人公たちなので、後輩キャラは出ません。乙川澄会長以外の新キャラが望みにくいのが吉と出るか凶と出るか。
桜Trick (4) (まんがタイムKRコミックス)

桜Trick (4) (まんがタイムKRコミックス)



 あらすじとしては、三年後に廃校となる高校に入学した高山春香と園田優。ふたりは中学以来の親友だったが、入学式後、互いに「他の娘としない特別なことをする関係になろう」と誓い合う。その行為とはキスだった――。
 高校に入ってからできた友人(コトネ・しずく・楓・ゆず)、優の姉で生徒会長である美月を巻き込んで、学生生活はスタートします。三年間の学生生活でふたりの関係はどうなっていくのかが焦点と言えるでしょう。
 個人的に百合漫画として度肝を抜かれた点は、毎話必ずキスシーンが挿入されることです。きららグループは百合作品が多いと言われますが、ここまで前面に押してきたのは珍しい方でしょう。おそらく。
 春香と優は毎話キスをするのですが、恋人同士かというとそうではありません。ゆずが「ふたりともおこちゃまだから恋愛とは無縁だろ」とからかったとおり、おそらく当人同士は互いを「特別な関係」の「親友」だと思っているはずです。それが二巻(結婚式)・三巻(美月の卒業)の終わりのエピソードで少しずつ進展していくところが見所です。

 三巻は主人公が三人になったような状態で進みます。美月が春香に恋をしてしまい、卒業式一日前に優の前で春香に告白してしまいます。「思秋期」(岩崎宏美)かよ! 春香は美月を振ってしまいますが、自分と優の関係に疑問を持ちます。
 美月は「好きです。付き合ってください」と告白しましたが、「恋人になってください」と告白していたらどうだったんだろう、とは想像します。春香の「好き」には、「友達への好き」、「敬愛としての好き」しか実感がなく、「恋愛感情としての好き」が欠けているんでしょう。美月が「私の言った『好き』の意味が分かっていない」はその辺を差しているのだと思います。それでも負けを覚悟して戦った美月会長は漢です。理奈副会長が大学で口説き落としてくれるのを期待していますが。
 そういえば物に対して「好き」と言うシーンはあっても、人物に対して「好き」と言うシーンは三巻末まで出てきません。なかなか巧妙な仕組みですね。春香は優のことを「大好きな優ちゃん」とか言いそうなのに、実は言っていない。ただ、「特別な関係(の親友)」と言っているんですね。その「特別」は当初は友情だったでしょうが、次第に恋愛感情に変わっていっていると思います。優ちゃんの方が目覚めが意外に早そうです。

 主人公カップルのほかにも、ガチのコトネとしずく、親友同士の楓とゆずと三種類のペアがありますので、お好みでどうぞ。