ごちゃまぜマイ・ジェンダー
知人から勧められたコミックを買いました。動機の何割かは作家買いを含みますが。
flower・flower 1 (IDコミックス 百合姫コミックス)
- 作者: 石見翔子
- 出版社/メーカー: 一迅社
- 発売日: 2008/12/18
- メディア: コミック
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政略結婚のために真伽国に輿入れしたニナ姫。婚約者・蒼(第一皇子)は女装青年だったため、それが気に入らないニナは第二皇位継承者の朱を婚約者に指定します。しかし、ニナが第二皇子と思っていた朱は、実は女の子だったのです……。というのが大まかなあらすじです。「百合姫コミックス」だから、女性同士の恋愛で当たり前じゃないか、という先入観がついうっかり働いてしまうのですが、ニナは結局、一巻のほとんどを通じて朱を男性だと思い込んでいます(聞いた話では、二巻で本格的にばれるらしい)。
朱は中性的な容姿で作中を通じて男装なのですが、あくまでも性自認は女性のようです。第五話で、朱は自分が女性であることをうまく受け入れられていない様子が見られるのが少し気がかりです。
- ニナが求めているのは、第二「皇子」の朱であること
- 女性らしい装いをすることにどこかつらさを抱えているらしいこと(兄の蒼もそのコンプレックスの一因の気がします)
二巻以降で、上の二点がうまく解消されればいいな、というのが、今後の展開の希望です。ニナの生国・アディンガーラ国の政情などの伏線も、もちろん気にかかるのですが。
ジェンダーについての考え・常識をかきまぜる漫画といえば、まんがラブリーで隔月連載している「MISHIMAデパート メンズ館」(松山花子)が浮かびます。
- 出版社/メーカー: 芳文社
- 発売日: 2007/06/13
- メディア: 雑誌
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漫画の笑いどころとしては、横暴な若社長の極端な考え方・行動や、男性客を中心に扱うという点での難しさでしょうか。後者では、男性のみ有効の割引クーポンを配布した結果、「クーポンがあるんだから、あなたが買ってよ」と妻や彼女にせがまれる男性、「男がクーポンなんて使えるか」と見栄を張って使わない男性、とうまく効果が上がらない結果になっていました。
ややこしいのは、若社長のパーソナリティです。若社長が生まれたとき、母親が「女の子が良かった…」と言ったのが、女性を敵視・男性を優遇、偏愛するようになったきっかけのようです。ただ、若社長には婚約者(女性)がいて、婚約者を軽んじているわけではないので、その辺がややこしさを増させる点ではあります。
個人的に面白かったエピソードを何点か。
- 他のデパートから店員の優(すぐる)を引き抜いてきた後、優が女性と分かり、激怒する若社長。秘書が「なぜ女性だと駄目なのか」と尋ねると、「女が男と同等に仕事をやってみろ、男はただの『生めない性』になってしまう」と反論する。
- 外見はどう見ても男性の優。どうして女性らしい格好をしないのか、と詰問する若社長に対して、「自分は女性であり、自分が女性である以上、『自分らしくする』ということが『女性らしくする』こと」と反論する。
- 女性のふりをして、航空会社にクレーム電話を入れる若社長。「海外では客室乗務員は男もいるのに、どうして女ばかりなのか」と訴える。これは珍しくもっともな訴えだ、と秘書が感心していると、「スチュワーデスになりたい男性はどうすればいいの」と続け、オチをつけます。(男の客室乗務員は「スチュワード」)